2016-06-11 連載小説 傍屋2 ・須野香と渡辺千嘉の元によく冷えた生ビールと鮮やかな緑色の枝豆が運ばれてきた。 ・二人は乾杯し、ビールを静かに飲んだ。 「香ってさあ…今の仕事、楽しい?」 ・千嘉はグラスの水滴を指でなぞる。 「全部が楽しい…わけじゃないけど」 ・二人の食べ終えた枝豆の殻が小皿に積み上げられていく。 ・先に蕎麦食べちゃおうか、と香が千嘉に促す。彼女は、そうだね…伸びちゃうもんね、と残りの蕎麦を箸で口へと運んだ。 ・店主は黙って次の客の蕎麦を茹でている。 ・香は殻になった枝豆たちを見つめていた。 (3へつづく)